それ、いい時計だな。とオレが褒めてやると、ロマーリオは、銀色に光るその懐中時計をしまいながら「先代にいただいたものなんです」と照れくさそうに答えた。
「へー、親父がなぁ…」
間接的にとは言え身内を褒めてしまった。
途端に照れくささが伝染して、オレはちょっと頭を掻いた。


「思えばお前、オレがガキの頃からウチにいるよな」
そのせいで、オレにとってのロマーリオは、キャバッローネのボスの部下というより長年家に仕えた執事の印象が強い。信頼がおけるという点では共通している。

そういえば…、ロマーリオに頼ってばかりで礼の一つもしていない自分に気づく。ボスの椅子に就いてまだ日の浅いオレは、ロマーリオやその他の部下たちへの甘えが抜けていないと思う。
このままじゃいけないと。これからは頼ってばかりはいられないと思った。


「オレも、ロマーリオに時計やるよ」
「先代に対抗してるんで?」
「ちげーよ。お前にはいつも世話かけてるからだ」
するとロマーリオは笑いながら、まったくだ、先代はあんたと違って手のかからない方だったとこぼした。


「ボスが時計をくださるのなら私は髪飾りでも差し上げましょうかね」
「…は?」
「賢者の贈り物ですよ。知りませんか?」
「……じゃあオレは髪切って売らなきゃなんねーのか?」
冗談だろうといって笑うと、冗談ですといってロマーリオも笑った。




そんな、ささやかな冬のおはなし。




新春企画でフリー配布してたもの。ディノロマ…ロマディノ?あれ?
*フリー配布期間は終了しました。ありがとうございました。
20060122UP