――――― 僕には、つけられる価値など微塵もないと思っていた。


僕は、いつものように
君の部屋にいて、君と同じ時間を共有していた。


いつものように
何をするでもなく、時をいたずらに浪費していた。



「最近多いな。買春」
新聞から目を上げた君は言う。
「……。」
「買う方もアレだけど売る方も売る方だよな、こういうのって」
「ん、でもわかる気がする。」
何が、と君は眉をひそめた。

「売る方のきもち。
ああいうのって…、自分の体を金額に換算する事で
自分の価値を確かめる働きがあるって。なんかの雑誌で、よんだ」


「じゃあ。アンタはいくら?」


君の問いに、僕は少なからず戸惑った。
自分にはつける価値など無い。


でも、そういうのはちょっと
癪だったので、見栄を張ってこう言った


「…………150円」



ジュース1本分。

腹さえ満たせぬ僕にはその値段も横暴かと思ったが、
別に誰が買うわけでもないのだ。


そんなもの、構いやしない。




「へぇ……案外安いんだな」



それなら俺が買ってやる、と。
言われた意味がわからなかった。

君が僕を買うというのはどういうことか。
僕には何も出来ることなどないのに




君は戸惑っている僕の唇を塞ぎ
衣服を乱暴に剥がしはじめた。


…ああ、そういうことか。



君が僕の隙間を満たしてくれて、
そこに価値が生まれるのならそれでいいと思った。






――――― 君が僕の価値を認めてくれればいいと思った、

例えそれがジュース1本分のちっぽけなモノでも。





本当は遠足の菓子代半分ってやりたかったのですが
遠足の菓子代=300円 ってのが解りにくかったため断念。

ここまで読んでくださりありがとうでした!
20050504


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