終業のホームルームを終えても、彼の背中は机に突っ伏したままだった。


クラスの連中がざわざわと教室から出て行っても、ぴくりとも動かない。寝ているのだろうか?
側まで寄っていって、かるく肩に手を乗せる。「十代目。風邪、引きますよ」
「ん……」
彼が僅かに身じろいだ。本当はもう少し寝ていてもらってもよかったのだけれど。
「ぁ、……」
「十代目?」
寝起き特有のぼんやりした眼が俺を捉える。
その瞳が微かに揺れて、その直後―――

「ッッ!!」

唇に、あたたかくて柔かい感触。これは。
あまりに短い間の出来事だったけれど、間違えようもない。

「キス…?」
「あ、あのさ…っ」

十代目は慌てた様子で椅子から立ち上がり、くるりと背を向けた。一瞬見えた頬は林檎のように紅く染まっていた。
「………と…」
「…え…」
「……なんでもないっ…!じゃあオレ帰るから!」
それだけ言い残すと十代目は猛ダッシュで教室を飛び出していってしまった。


俺は、キスの味の残る唇を指でそっとひと撫でして十代目を追いかけた。




十代目は確かに言った。「おめでとう」、と。
聴覚のいい俺が確かに聞いたんだ。間違いなんてあるわけないだろ?


獄寺バースディ9月9日にメモに書いたもの
ほんとは獄ランも書きたかったんだけど…ガ・マ・ン…!笑

20051019UP