9月9日夕方。くもり。
空は今にも泣き出しそうな雰囲気に澱んでいる。
俺の隣の…ランボは、何故かさめざめと泣いている。

俺達は遊園地に来ていた。



「なぁ。ランボ?」
「………」
「ランボ」
「………。」
ランボはえぐえぐとしゃくり上げるだけで、答えてはくれない。泣いているランボを連れまわすのも、なんとなく気恥ずかしい。
とりあえず手ごろなベンチを見つけてそこに陣取った。

「なんで泣いてんだ」
やっと口を開いたランボは微かになんでもない、と呟いた。
「なんでもないわけねェだろ?」
「だってぇ……」
「いいから話せよ」
「えー…」

ランボはしばらく考えた後、言った。

「も1回、観覧車乗らない?」



夕暮れ時なのもあり、観覧車は随分空いていた。
ゴンドラに乗り込み、ドアのロックがかけられる。と、そこは再び地上に降りるまでは密室になる。この程好い圧迫感を伴った空間が、俺は好きだった。



「…あのね」
観覧車の輪の頂上に差し掛かる手前で、ランボが呟く。
「さっき乗ったとき、てっぺんでチュウしてくれたでしょ」
「あぁ」
「そのときオレね、このまま時間が止まっちゃえばイイのにって思ったんだよ」
「……」
「でも時間は止まってなんてくれなくて。」
「……」
「それだけ。」
「…それだけであんな泣くのかよ。泣き虫」
「オレだってなんで泣けてきたかわかんないんだよ。知らない」

そういってランボはまた泣いた。
キスして。そう言われた気がして強引に抱き寄せ唇を合わせた。胸の中でランボが苦しそうにもがいた。
しばらくの間、俺はそうやってランボを貪り続けた。


「…止まってくれなかったね。やっぱり」
「たり前だろ、バカ」
涙の跡の残る頬をごしごし擦って、ランボは笑った。

「でも、オレねぇ」
「ん?」
「やっぱり時間止まらなくてもいいや、って思った。今降りてきて。」
「は?どっちだよ」
「だって時間止まったら、来年とか再来年とか、もっともっとずーっと後のハヤトの誕生日祝えないもん。」
「祝わなくてもいいだろ、ンなもん」
俺の言葉を途中で遮るようにして、ランボは続けた。
「オレ、今日で終わりにしたくないからさぁ、」
「……、」
「今のままでいいよ。だから」


控えめに、ランボは俺の手を握る。そして、控えめな笑みを向けて歩き始めた。




9月20日にメモに書いたもの。
大遅刻だけど獄誕DE獄ランができたから満足です
ていうか観覧車ちゅーってベタ過ぎやしないか!

20051019UP