白い部屋の白い寝台の上で、彼は酷く痩せこけた頬をしていた。



医者に話を聞いてみるとどうやら栄養失調らしかった。

救急車を呼んだ千種によると、
彼――雲雀は、空になったミネラルウォーターのペットボトルの山の中に身体を伏していたらしい。嘔吐の跡もあったそうだ。
千種は「あなたが大切にしているものですから仕方なく呼んだんですよ、救急車」なんて溜息をつきながら言っていた。千種は、あれでいて結構綺麗好きだから…。


日に日に雲雀が痩せていっているのは知っていた。
…衰弱するのを見て見ぬ振りしていたのは何故か。




「ひばり」
「放っといてくれればよかったのに。」

弱弱しい身体の中、眼光だけが鋭い。
雲雀はまるで僕を刺すような目つきで言い放った。


「食事…いつも戻してたんですか、今日みたいに」
「関係ないよ」

「…………」
「……。」


ベッド脇の椅子に腰掛けて、雲雀の髪を触る。
普段なら凄く嫌がるはずのその行為を雲雀はすんなり受け入れてしまった。



(調子…狂いますね…。)



「あのね」
「………」
「……僕を飼ってるような君に苛々してた。」
「飼ってる?」
「ん、犬でも養ってるみたいな…自分の庇護欲満たしてるだけ、っていうか」


「………飼ってる?」
僕は先に言った台詞を反芻した。「飼ってなんて…同居でしょう?」
「それと。君に生かされてる自分にも腹が立ってた」

僕の言葉を遮るように雲雀は続ける。
「生かされてる立場に甘んじてる自分に吐き気がした。」


「それで衰弱死しようと?」




「痩せて痩せて肉の皮を脱いじゃったら、」
枯れ木のように細くなった指をぎゅうっと組み合わせて雲雀は言った。
「そうしたら君はもう僕に執着しないんじゃないかって思ったんだよ」


自虐的な笑み。
こけた頬。折れそうな腕。生々しい点滴の針。
自分の手の届かないところに逃げようとした雲雀。

抱きしめたら腕の中で消えてしまいそうなくらいに儚くて切なかった。自分にはどうしようもない、感覚。


「僕は、」
悲しいのか憤っているのか、これだけ絞り出すのが精一杯だった。
「僕はお前を愛してますよ」



愛してる、だって?
吐き捨てるように言って雲雀はまた笑う。

「僕と君を繋いでるのは、愛情とか、そういうのじゃないだろ」

「…何ですか?」



「きもちいいこと」





雲雀はこんなにも、やつれているのに。
否、やつれているからこその色香だろうか。

艶然と微笑をうかべる雲雀に吸い寄せられてしまう。




「…その気にさせるの、上手になってきましたね?」
「セックスするのは好きだからね。君のことは」
「嫌いなんでしょう。知ってますよ」


雲雀に求められている。
その事実がからだの奥を熱くする。

ふいに安堵した僕は、溺れるように雲雀の唇を味わった。





実際、もう溺れてしまっているんですけどね。
切なく淫らな愛の渦。





むくひばイェイ☆(マイアヒのリズムに乗せて)
真夜中テンションで今晩和。イタイ恋愛代表がむくひばだと思っております。言い張る。
ちょっとこれ雲雀サイドとか書きた…い…


20051113UP