「まさか同じクラスの人だったなんて、奇遇ですね。はじめまして」
さっき会ってるのにはじめましてはおかしいかな、といって彼は照れくさそうに微笑んだ。

「六道骸です。よろしく」
「知ってる。」
言いおわって、しまったと思った。なにしろ自分とこの男は"初対面"なのだから。少し怪訝な顔で骸が自分を見ていた。
「あなたは?」
知ってるくせに。心の中で呟いて気だるげに口を開く。
「…雲雀恭弥」
「雲雀くん…、綺麗な名前ですね」


『綺麗な名前ですね。』


バシッと弾かれたように席を立った。反動で椅子が派手な音を立てて倒れたが構ってなんていられない。驚きに固まった骸とその他のクラスメイトを尻目に教室を飛び出した。

雲雀は確信した。これは"日常"なんかじゃない。






どうやって辿り着いたかわからない、気がつけば応接室のソファに倒れ込んでいた。
息が苦しい。無論ここまで走ってきた所為ではない。
赤ん坊の話によると、六道骸の中から事件に関連した記憶は抹消されているはずだ。それなら自分の事を覚えていないのは当然で。
そもそも骸とは「金輪際関わることは無い」のではなかったのか。
それなのにあの男は自分の前に再び現れて、あの時と同じ口調で、


『綺麗な名前ですね。僕の可愛い―――』



いつの間にか頬が濡れていた。拭っても拭っても、新しい涙がこぼれてきてどうしようもなかった。
骸といた僅かな時間の思い出――尤も思い出と呼べる程甘酸っぱいものでもないのだけれど――が甦り心をやわらかく締めつける。
忘れてしまおうと思っていたのに、どうして。


「消えてよ…六道骸…」





囁くように絞り出した言葉は、自らを苛むかのようにいつまでも己の耳に重く残っていた。





続...


捏造上等骸ヒバ第二章。
うまく落ちるかどうか心配になってきましたお…あばば…
骸ヒバというより骸←ヒバリな感じで、もう少しお付き合いくださいませ。




20051207UP