「恭弥!恭弥!」

狂ったように僕を呼ぶ声がする。
寝室を覗くと、声の主――骸が、心底ほっとした様子で表情をほころばせた。
「起きたの」
「ええ。…目が覚めて隣に恭弥がいないものだから死んでしまうかと思いました」
「……いっそ死んでしまえばよかったのに」
つい悪態が口を突いて出た。可愛くないな…と思う。別に可愛くありたいわけでもないのだけれど。
骸も可愛げないんだから…なんて呟きながら溜息をついている。でもその顔にはどこか、聞き分けの悪い子を包み込むような甘さがあった。
「起きたなら早く朝ごはん食べてよ」
「恭弥がキスしてくれたら起きますよ。」
「…………。」
目が覚めて開口一番がこれだ。つきあってられない。寝言は寝て言えと吐き捨て、冷たい一瞥をくれてやってから寝室の扉をバタンと閉めた。



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キッチンに引き上げて暫く経つが、寝室から骸が出てくる気配はない。
…本当に寝てしまったのかな。
一旦考え出すと気になって仕方がない。
さっさと起きてもらわないとキッチンも片付かないし。それは困る。
骸と暮らすうちにすっかり所帯じみたなぁ…なんてぼんやり考えながら再び寝室のドアを開けた。


……案の定というか、何というか、
骸は安らかな寝息をたてて眠っていた。ピローをしっかり抱え込み丸くうずくまっている様子はまるで幼い子供のようで、おかしくて思わず笑みがこぼれた。
「…きょ…や……」
幸福そうに、むにゃむにゃと寝言を漏らしている。寝てるときはこんなに大人しいのに…
「キス、して……」
「え」

“寝言は寝て言え”とはいったものの、まさか本当に寝言でキスを強請られるなんて考えてもみなかった。
どうしてこんな時だけ忠実なのか…と呆れてみたりもしたが、相手は眠っている訳だし。キスぐらいならしてやってもいいか、と思った。

額にかかる髪をかき上げて、ちゅっと音を立て唇を落とす。
……と、唇を額から離そうとしたその時。
物凄い力で抱き締められて布団の中に引きずり込まれた。
「…つかまえた。」
したり顔の骸が至極嬉しそうに囁くのを見て僕は一瞬状況が理解できないでいた。やっと自分が置かれた現状を飲み込み、逃れようと腕の中でもがいてみるけれどびくともしない。骸のこの細腕の何処にこんな力があるのだろうか?

「ちょっ…寝てたんじゃなかったの…!?」
「どうして恭弥は唇にキスしてくれないんですか?」
「うるさい、放せ、よッ…!」
「放しません」
折角お前をつかまえたんだから、もう少しこうしていたいと骸は言った。
「それに昨晩の続き…とか、したいでしょう?」
昨晩の、という台詞に反応して、身体が勝手に熱を帯びていく。それが嫌じゃない自分がいる。いつしか僕は抵抗を止め、彼の愛撫に身を委ねていた。あの、狂うような快感を心待ちにしながら。

ベッドサイドの時計を薄目で見た。……午前10時23分。
折角の日曜日が台無しになる、家事が片付かないと考えてしまう自分を今だけは追いやってしまおうと思った。



まぁ、こんな日がずっと続いていくならば、人生はなんて上々。




えーえーえー、甘々目指して書いたらぐだぐだになった骸ヒバで…す。倒
捏造も甚だしいな…ん、でも捏造大好き!!(開き直った!)

甘々骸ヒバ大将(笑)のタキさんに捧げるであります(返品可…)。サイトオープン一ヶ月おめでとうございますッ!!


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