|
冬といえばコタツ。 コタツといえばみかん。 日本の常識かは知らないが、沢田家ではそう決まっていた。 ガチャ 「ただいま。」 ・・・・・・シーン 返ってきたのは静けさのみ。 「あれ?」 首を傾げながらツナは家の中に入った。 そして、コタツの上にて書き置きを発見した。 "ツナへ。おしょうゆがきれたのでかってきます。" このひらがなばかりな書き置きは間違いなく母のものである。 だが・・・ 「鍵、かけずに・・・?」 とはいえ、度々起こりうる事である。 本人は五分程で帰るつもりで、実際行って買ってくるだけなら五分もあれば充分なのだが。 行った先で他の物を思い出して買ったり、人に声をかけられたりで必ずといっていいほど時間がかかる。 ましてや、あのチビ達が一緒ならあと一時間は帰ってこないだろう。 誰もいないといつもなら騒がしいコタツが別物に見える。 何とはなく不思議な気分でコタツに入ると中央にあるみかんから一つ手に取り、自分の前に置いた。 さて、どうしよう。 みかんは割りと好きな方だ。 であるにも関わらず、何故逡巡しているかというと。 実はというか何というか、ツナはみかんの皮を剥くのが苦手なのだ。 皮を剥いた後、みかんが丸いままだったためしがない。 変な所が抉れていたり下手をすれば潰れている。 食べたい気はあるのだが・・・ ツナは机の上のみかんに目をやった。 どれくらいの間、みかんと睨み合っていたのだろう。 ふと、気がつくと目の前で手が振られていた。 「・・・・・・うわぁっ!?」 「10代目?」 「あ、あぁ獄寺君。」 未だ動転しているまま相手がリボーンで無かった事にホッとする。 もしも、あの赤ん坊だったら間違い無く撃たれていた事だろう。 そんな事を考えていると一枚のプリントが差し出された。 「え、ええっと?」 「10代目の宿題のプリント、俺の鞄の中に入ってたんで。」 よく見ると確かにそのプリントには自分の字で沢田綱吉、とあった。 「あぁ、ありがと。」 「ところで、何なさってたんですか? チャイムを鳴らしたのにも気づかれなかったみたいですし・・・」 こんな理由、言ったら恥だ。 「あ、あのね・・・」 何かもっともらしい理由は無いかと必死で頭を働かせる。 と、机の上に転がっていたみかんに獄寺が目を止めた。 「みかん、ですか?」 「そ、そう!みかん!獄寺君も一つどうかなっ!」 籠ごとそちらへと押しやる。 焦り過ぎて思わず声が裏返った。 「あ、どうもありがとうございます。いただきます。」 獄寺は一つを手にすると何のためらいも無く皮を剥きだす。 とはいえそれが普通なのだが。 ツナが剥けば多くの断片になるであろう皮は花のような形を留めたまま机に落ちる。 丸いみかんを一つの房ずつに分けると一つずつ筋を取っていく。 丁寧かつ手早いその手の動きをツナは感嘆とわずかばかりの羨望を込めて眺めていた。 と。 何かの拍子に顔をあげた獄寺とツナの目があった。 ビクリとしたツナと対称に 獄寺はキョトンとした表情を浮かべると手の中のみかんとツナの顔を数度見比べ、 「どうぞ?」 微かに笑みを浮かべると筋の取り終わったみかんを差し出した。 「い、いいよ!?悪いし!」 「いえ、別に大した事じゃありませんし。」 ・・・大した事じゃないよな・・・ それすら出来ない自分に軽く凹む。 「えっと、10代目?」 突然項垂れたツナに獄寺が戸惑っているのが分かる。 「うん、貰うよ。ありがと。」 みかんを受け取り、口に運ぶと目の前の相手があからさまに肩の力を抜いた。 その後、何事も無かったように獄寺はみかんを剥いてはツナの前に置き、 時折思い出したように自らの口にも運んだ。 目の前に並べられたみかんを口にしながらツナはふっと思った。 獄寺君が居てこんな静かなのは珍しいかも知れない、と。 のんびりとただ時間のみが流れていく感じ。 口元に小さな笑みを浮かべて思う。 こんなのも悪くないかもしれない。 いただきもの・獄ツナです。またまた聖さんより強奪☆レイダーしてきました。 なんでもサイト改装のお手伝いした時のお礼…だそうで。仕事以上の報酬を頂いた気がするんですが いつもありがとね(笑)!! 05' 11/22UP |